ペルー料理の中には中華のエッセンスが混じったチファ(CHIFA)というジャンルがあります。この記事ではチファとはいったいどんなものなのかを書いてみようと思います。
ペルーで中華料理がチファと言われるようになった由来
ペルーでは中華料理またはそのレストランのことを総じてチファ(Chifa)といわれています。チファと呼ばれるようになった由来はいくつか存在するみたいですが、広東語で「食事をする」という意味の”chīfàn"という言葉が転訛してそう呼ばれるようになったとも言われています。
町のいたるところでCHIFAと掲げられたお店を見かけるので、初めてペルーへ行ったときは不思議に思いました。見かけはどう見ても中華レストラン風なのに、何でチャイニーズじゃなくてチファなんだろうって。そしてその謎めいたチファという言葉に不思議と懐かしさを感じたのも覚えています。
ペルーでのチファの誕生
戦前から戦後にかけて南米へ渡った日本人移民と同様、中国からペルーへ移住してきた人たちも労働契約者としてやってきていたそうです(日本人よりも中国人の移住の方が先行していたそうです)。やがて労働契約も切れて自由になり、リマに定住し始めた人々が中国から調味料などを輸入し、お店を開いて販売するようになったのです。
ちなみにちょっと話はズレますが、後から移住の始まった日本人たちの多くは、もともとペルーで金を貯めて日本へ帰国するといった出稼ぎのつもりでペルーへやってきていたため、日本への帰国費用を貯金する節約のために、高くついてしまう日本からの輸入品ではなく、比較的安価で手に入る中華系食材店の輸入品で代用していたと言われています。
1921年にはチファ(初めての中華レストラン)が誕生。リマの中華街に、門をくぐった先に伸びるカジェカポン(Calle Capón)という通りがあります。一番賑わっている通りなのでわかりやすいですが、そこがチファ誕生の地と言われています。
その後には、調味料以外にも調理法(Wokという深めの中華鍋を使用)なども含め、チファはペルー料理の一部としてさらなる発展を遂げていったそうです。
チファに欠かせない食材、シジャオとは
ペルーの中華で欠かせない主な食材といえば
- シジャオ(Sillao・醤油)
- キオン(Kion・生姜)
- セボジャ・チナ(Cebollita China・細ネギ)
などがありますが、中でもひとつ目のシジャオという醤油はチファには欠かせない最も重要なアイテムです!
醤油といっても日本のものとは違うペルー独自のもので、たまり醤油よのうな甘味があって少しドロっとした感じです。ペルーだとシジャオはスーパーなどでも普通に売られていて、一般家庭でも使われています。
ペルー料理の代表格ロモサルタードの隠し味に醤油が使われているのも有名な話ですが、ペルーではもちろんこのシジャオが使われています。
日本でも南米食材店等で手に入りますよ!
チファの代表的な料理
【チャウファ・Chaufa】
広東語でチャーハンを意味するチャオファン(炒饭)が口語化されたと言われるチャウファ。もはや中華料理というジャンルをこえて、ペルー料理を代表する料理のひとつと言ってもいいほどに、ペルーでは日常的に食べられているチャーハンです。チャンチョ(Chancho)という豚肉入りチャウファが人気!
↓私がリマで一番チャウファがおいしいと思うレストランは、実は日本食屋さん!↓
【ソパワンタン・Sopa Wantan】
チキンベースのワンタンスープ。ソパとはスペイン語でスープのことをいいます。
ペルーでは年間を通して人気のあるスープ料理ですが、曇ってばかりで肌寒いリマの冬には特に好んで食べられています。
リマ中華街の目抜き通りカジェカポンにあるレストランSan Joy Laoでもおいしいワンタンスープが食べれます!
【タジャリン サルタード・Tallarin Saltado】
ロモサルタードに似た食材(牛肉、玉ねぎ、トマト)と味付けがされた麺料理。見た目が太麺の焼きそばみたいですね!
タジャリンとはスペイン語で麺のことをいい、この料理ではスパゲティが主に使われています。味付けには醤油が使われているので、和風パスタのような感じ・・・?と言いたいところですが、やっぱりペルーの中華です!
ロモサルタードはペルー料理?それともチファ?
先ほどにもちょっと触れましたが、ロモサルタードでは味付けに醤油を使っています。ペルー料理店に行くと、チファに限らずほとんどと言っていいほどのお店にある料理で、ペルー料理代表の一つとして世界的に知られていますね。
もともとペルーにはお肉やウィンナー、タマネギを塩で炒めたものに目玉焼きが乗っかったロモアラチョリジャーナ(lomo a la Chorrillana)という料理がありました。
実はこれが現在のロモサルタードの先駆け料理と言われているものなんだそうです。
のちに移民たちによって持ち込まれた醤油を使うようになったり、Wokを使う調理法とともにチファが発展していきましたが、その過程でこの料理もアレンジされるようになり、現在のロモサルタードになったと言われています。
ロモサルタードはペルー料理でもあるけども「チファをベースとしたペルー料理のひとつ」と言えるでしょう。
日本のペルー料理屋さんでもメニューの中にチャウファやタジャリンサルタードなどの料理をよく見かけます。もし見つけたらペルー料理の一つとしてぜひ味わってみてください!