マセラード(macerado)というお酒を知っていますか?ペルーの代表的なお酒にピスコというブドウの蒸留酒があります。そのピスコに果物やハーブなどを漬け込んで作るお酒のことをペルーではマセラード(Macerado de pisco)と言うそうです。今回はこのマセラードについての説明を加えながら、作り方をご紹介しようと思います。

マセラード作りに適しているピスコは?
マセラードってあまり聞き慣れない言葉なので、きっと特殊なお酒で、作るのも難しいんじゃないの?思ってしまうかもしれませんが、身近なお酒で例えると梅酒のようなもので、作り方の手順としては簡単なものです。
まずは使用するピスコを準備します。ペルー産ピスコは南米食材店やオンラインで購入できます。
ピスコには「ピスコ用に定められたブドウの種類」というのがあります。その中でもケブランタ(Qubranta)というブドウで作られているピスコがマセラード作りに適していると言われています。
ピスコ用ブドウの種類(一部紹介)
- 非芳香酒:ケブランタなど
- 芳香酒:イタリア、モスカテル、トロンテルなど

今回、私はケイロロ(Queirolo)というメーカーのものを使用することにしました。ケイロロはリマ南部にあるイカ市で生産している酒造メーカーで、ワインの生産も手掛けています。古くからリマ市内にもレストランを展開していて、伝統的な雰囲気のある場所でケイロロのワインやピスコ、美味しいペルー料理を味わうことができます。とっても素敵なレストランで私もお気に入りです!
マセラード作りに使用する瓶を用意する
果実酒や漬け込み酒を作るための密封瓶がたくさん売られています。私は今回セラーメイト製のものをAmazonで購入してみました。
どれくらい作るかによっても使用する瓶の容量も変わってきます。マセラードのレシピでは1リットルのピスコに対する漬け込み材料の分量を示されているものが多いのですが、今回私が購入したケイロロのピスコは750ml入りなので、500ml分のマセラードを作ってみようと思っています。ですので1リットルの密封瓶を準備しました。
マセラードに漬け込むものを選ぶ
ここが一番悩むところだと思います。ペルーでは向こうならではの果物やハーブなどを漬け込むそうです。例えば
〈フルーツ〉
- アグアイマント(aguaymanto・インカベリー)
- マラクヤ(maracuyá・パッションフルーツ)
- グラナディジャ(granadilla)など
〈ハーブ系〉
- イエルバルイサ(Hierba luisa・レモングラス)
- コカの葉(Hojas de coca)など
私が日本のペルー料理店で見かけたメニューの中にはキヌアの葉やマカなんてものもありましたが、ペルーではもっとたくさんの種類のものを漬け込むようです。
上記のもの以外にもブルーベリーやリンゴ、いちご、オレンジなど日本でも簡単に手に入るものも使用したりします。なのでマセラードは基本的に何を漬け込んでもOKということです。ミックスして新しいタイプのものを生み出してみるっていうのもありかもしれませんね。
今回私は初めてのマセラードに挑戦ということで、初心者でも失敗しなさそうなアンズ(albaricoque)を使ってみることに決めました!
準備する分量は以下の通り
〈1リットルのピスコに対する分量〉
- 生のフルーツ:250g
- ドライフルーツやハーブ系の葉もの:350〜400g
私が今回使うアンズはドライフルーツです。ですので500mlのピスコに必要な分量として約175〜200gということになります。ドライフルーツで果実酒を作る場合、適宜な氷砂糖を入れて甘味を出した方が熟成が早まるというようなことが書いてあったので、私も氷砂糖を入れてみることにしました(氷砂糖はフルーツの半分の量)。
マセラードの熟成期間
密封瓶の中にピスコとフルーツを漬け込んだら熟成の開始です。熟成期間は以下のように言われています。
- 生のフルーツ類:45〜50日間
- ハーブや葉物系、ドライフルーツ:30日間
中身の入った瓶は日の当たらない所に保管しましょう。熟成が観察できるような場所だと眺められていいかもしれません。あとは仕上がりを待つだけです!ワクワクしますね。
完成の味というものにはおそらく正解はないと思います。マセラードという意味自体がスペイン語で漬けるとか浸すといったような意味なので、ピスコに何かを漬け込んで作られたものであればどんな味でもマセラードそのものになります。仕上がりの味は何度か作ってみて好みを見つけていくしかなさそうですね。
マセラードの飲み方
漬け込みを開始して2日後ぐらいから、早くも色がつきはじめてきました。完成はまだまだ先ですが、出来上がった後の飲み方もここで説明しておきます。果実がばらけてしまっている場合はグラスに注ぐ前に一度濾してあげるとよいと思います。
- そのままストレートで飲む:漬け込んだもをピスコと共にしっかりと味わえます。ただアルコール度数が高いままなので、お酒としてのインパクトの方が強いかもしれません。
- ロックで飲む
- ソーダで割って飲む:ストレートやロックだとちょっときつい場合はソーダで割って飲んでみるのもおすすめです。
- ジンジャーエールで割って飲む:味がついてだいぶ飲みやすくなります。漬け込んだものの味をほんのりと感じることができ、食事とともにするのにも向いています。
〈チルカノ(Chilcano)とは〉
ピスコをジンジャーエールで割った飲みものをペルーではチルカノ(Chilcano)と言われています。シロップやジュースを混ぜたりしてカクテル風にして飲んだりもするようでレシピもたくさんあります。
※ペルー料理の中に魚の出汁でとったチルカノというスープもありますので混乱されないように!
東京でピスコのマセラードを飲めるお店

先ほどマセラードの味に正解はないといったようなことを書きましたが、そうは言っても飲んだこともないものを作ってみても、やっぱり作った気がしないものです。私もマセラードを実際に飲んだことがあって、美味しいなって思ったからこそ自分でも作ってみたいと思うようになったのです。
私が初めてマセラードと出会ったお店が、東京の表参道にあるペルー料理レストランアルド(Aldo)でした。お店の扉を開けると、目の前のカウンターにマセラードの瓶が並べられているのが目に入ります。
マセラードの種類はハーブ系が多め。香りやエキスを楽しむ感じで味わってみることができると思います。美味しいペルー料理と共にぜひ味わってみてください!
【ペルー料理ALDO(アルド)】
住所:〒107-0062 東京都港区南青山3丁目3−23
営業時間:日〜土 11:30〜14:30、18:00〜22:00(変更の可能性あり)
ホームページ:https://aldoperu.com